棧俵神楽
(新潟市江南区)

団体概要

棧俵神楽は,稲藁を編んだ棧俵を2つ合わせて大きな口とし,茄子の目にカボチャの鼻,熊稗を髪として,歯は唐竹を割り組み合わせて,金紙を張りつけて作られた手作りの神楽で,毎年祭り前に作り始め,祭りが終わると小阿賀野川に流されます。
木津は上・中・下の3つの集落により形成され上木津には諏訪神社,中木津には日吉神社,下木津には賀茂神社があり,それぞれ集落の氏子によって祀られています。
賀茂神社は神楽を持たなかったとから,毎年神楽を買ってもらいたいと村役にお願いをくりかえすのですが,なかなか理解が得られず途方にくれるだけでした。棧俵神楽が滑稽な舞を始めたのは明治30年頃だと言われています。秋祭りの晩に元気を出した若者が,古棧俵を2枚と蚊帳を持ってきて,大勢の氏子を前に威勢よく滑稽な舞をやってのけ,皆を爆笑させたということです。当時の木津は水害の連続であり,大正2年8月の豪雨により小阿賀野川の堤防が決壊し,悲惨極まる水害により稲も全滅的な打撃をこうむり,暮らしは苦しくなるばかりでした。苦しい生活で大神楽を買ってもらうという長年の夢をきっぱりあきらめて,今まで余興のようにして続けてきた棧俵2枚だけの粗末な神楽をもっと立派なものにして,賀茂神社の神楽として奉納しようということで,みんなが集まり知恵を出し合って作られたのが,今日も伝わる手作りの棧俵神楽です。