「MORRY GO ROUND」は、山の人も街の人も楽しめる温度のあるイベントを開催することで、新潟の里山の今いる現在地を可視化することを目標にしています。今回は、MORRY GO ROUNDの活動の象徴として、県産広葉樹を使ったメリーゴーランドをイベント会場に出現させ、それを舞台として、書き下ろしオリジナル台本の演劇と、音楽の演奏会をメインコンテンツとしました。当日は、一般来場者の方々からの演劇・演奏の感想を、大きな模造紙に感想を書いた付箋を貼り付けてもらうスタイルの寄せ書きを実施しました。
MORRY GO ROUNDは、「行政、林業業者、製材業者、家具製造業者、消費者」の五者がお互いの動きや現状を少しづつ理解していくことで、にいがたの森のあたらしい局面を切り開くことができるかもしれない、と考えていますが、今回のイベントはその相互理解を深めていく、象徴的な取り組みとなりました。
特に重要であったのは、演劇や音楽が催されたことです。前述の循環の五者は、「一般的には繋がっていないいわゆる顔の見えない関係性で、お互いに利益が反したりする場面も多く、コミュニケーションすらままならない。」これが日本における森の循環の現状でもあります。ここに、一見関係がないように思える文化芸術分野が媒介したことで、五者の相互理解が促進され、新たな価値が生まれる礎となる兆しが見えました。
文化芸術が、本質や目指すゴールは同じだということを、皆がわかる言語に翻訳してくれた感覚。MORRY GO ROUNDにおける演劇や音楽の役割は、みんなの通訳者であったのだと思います。
今回は、関係者および一般の方々に対しての、MORRY GO ROUNDの開会宣言とも言うべくイベントでした。スタートであり、ここから、地域材の取組み「MORRY GO ROUND」ブランドのコアを確立させて、新潟のプロダクト・新潟の文化芸術を含む魅力を全国へと届けてゆくために活動を続けようと思います。
今回までは、各家具工房やクリエイターたちがそれぞれでばらばらに製品をつくっていましたが、次回イベントの開催前までに、MORRY GO ROUNDの共通プロダクトブランドを立ち上げ、県産広葉樹をつかった製品を各工房・クリエイターたちが同名義(MORRY GO ROUND)でリリースできる土台をつくりたいです。このブランディングによって、行政や大きな単位での取り組みをされる方々が、MORRY GO ROUNDを新潟の地場産業のひとつのカードとして、広く使っていただけるようになるのではと考えています。
単に家具だけではなく、にいがたの森を巡るなかで生まれたフード・スイーツプロダクトや、メリーゴーランド+演劇音楽というサーカスのようなコンテンツも全て含んだものがMORRY GO ROUNDのブランドパッケージです。今回でつながり、絆を深めたたくさんの方々のお力をお借りしながら、少しづつ進めていきたいです。
中央ヤマモダン『山彦のバッティングフォーム』
プログラムオフィサーより
家具を見に来る人やごはんを食べに来る人、木工のワークショップに参加する人、メリーゴーランドに乗りに来る人、公演を見に来る人、たまたま通った人など、さまざまな目的や年齢の人が集まって、同じ空間・時間を共有していたことが、今回の「MORRY GO ROUND'25」の特徴だと感じています。ステージ公演ご出演の方から、「音楽や演劇の公演や木製メリーゴーランドの制作、家具、木工、そして飲食も含めてクリエーションの空間になっていると思います」、といった言葉がありました。家具や木工分野の企画だけでなく、音楽・演劇のステージを交えたことで、公演を目的に来場された方が森林や家具産業にふれるきっかけに、そして、森林や木工、家具産業に主軸を持つ方々に音楽や演劇を届ける機会にもなっていました。公演出演の方はもちろん、ブース出店・出展者の方、ワークショップ参加の方は、それぞれが創り手・担い手であり、公演を鑑賞された方、展示をご覧になった方、木工作品を購入された方、飲食をされた方は、それぞれがクリエーション作品の受け手となり、ひょっとしたらMORRY GO ROUNDというイベントで知ったこと、感じたこと、思い出を誰かに伝えるつなぎ手になっているのではないでしょうか。
「行政、林業業者、製材業者、家具製造業者、消費者の五者がお互いの動きや現状を少しづつ理解していくことで、にいがたの森のあたらしい局面を切り開くことができるかもしれない」という考えを持つMORRY GO ROUNDの活動が今後も継続することで、文化芸術と産業が双方向に補完したり、影響し合ったり、調和しあったりすることを期待しています。(高橋)