アーツカウンシル中長期計画

アーツカウンシル新潟では、目標年次を、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という)の文化プログラムの地方展開が終了し、2020年以降の取り組みが開始される平成33年度とする中長期計画を策定しています。今後、アーツカウンシル新潟が「めざすべき方向」は、以下の4本柱です。
  1. 社会包摂の実現に貢献する、あらゆる市民が主体の文化芸術活動の活性化
  2. 新潟文化の形成、発信による北東アジアの文化交流拠点都市の形成
  3. 文化芸術の多面的利活用による文化創造交流都市・新潟の基盤強化とブランド発信
  4. 持続的・自律的なアーツカウンシル組織の確立
1. 社会包摂の実現に貢献する、あらゆる市民が主体の文化芸術活動の活性化
 水と土の芸術祭における市民プロジェクト等、多様な市民が主体的に取り組む文化芸術活動の活性化を図るとともに、東京2020大会の文化プログラム以降も持続的、自律的に活動していくための、市民団体の組織基盤および環境の整備を進める。
 そのため、新たに市民団体の法人化や資金調達を含む事務局機能の整備、強化を図るとともに、団体内でのアートマネジメント機能の強化を図るための支援制度を導入する。あわせて、アーツカウンシルの持つ相談機能の普及、拡大を図り、市民の誰もが主体的、積極的に文化芸術活動に参加できる環境を整備する。
 特に、障がい者や高齢者等の地域社会から排除されがちな市民の社会参画を促す“社会包摂(ソーシャルインクルージョン)”の取り組みを、文化芸術を通じて積極的に展開し、誰もが安心して豊かな市民生活を送ることのできる地域社会の実現をめざす。
具体的な取り組み
● 市民団体の活動基盤、仕組みづくりに資する新たな補助金制度の創設
● 補助金制度とあわせた相談窓口の設置等、支援機能の強化
● 市民が気軽に相談することのできる文化情報スペースの設置
● 障がい者と健常者がともに実施する文化芸術活動のモデル的実施と機会の拡大(アールブリュットの取り組み等)
● 各区の地域文化の特性、文化資源の再発見の機会の創出と市民活動の支援(市民文化対話の実施)
2. 新潟文化の形成、発信による北東アジアの文化交流拠点都市の形成
 文化芸術分野においても日本海側の拠点都市としての役割を担い、湊町および開港地として培われた進取の気質と国際交流機能を活用し、北東アジアの文化交流拠点都市の形成をめざす。
 東京2020大会の文化プログラムとして、湊町文化の伝統を継承しつつ、都市と農村の日本文化の多様性を具現する新潟市の地勢的特色を活かし、新たな時代を担い、新潟市より国際的に発信する“新たな新潟文化”を創出し、日本海側における日本文化のゲートウェイ機能を強化する。
 特に、2015年東アジア文化都市の経験とネットワークを活用し、中国および韓国を中心にロシアの沿岸都市を含めたネットワークの中心となる北東アジアの文化交流拠点都市の形成をめざす。
 あわせて、東京2020大会の文化プログラムを起爆剤とした訪日観光客の増加に対して、ゲートウェイおよび滞在拠点としての機能強化を促進し、観光・経済分野での波及効果を実現する。
具体的な取り組み
● 日中韓およびロシアをはじめとする国際共同制作等の新たな多様性に資する国際文化交流事業の実施と継続的な体制の構築
● 上記の事業を通じた都市間ネットワークの構築
● 全国組織への働きかけによる文化芸術に関連する国際的事業の誘致
● 観光・経済分野との連携(日本文化に関心を持つ訪日観光客の受け入れ拠点の形成)
3. 文化芸術の多面的利活用による文化創造交流都市・新潟の基盤強化とブランド発信
 文化創造交流都市として中核的な役割を担いつつ、近年、注目されている教育、福祉およびまちづくり等の分野での文化芸術の持つ創造性やコミュニケーション機能の多面的利活用を図ることにより、 “社会インフラ”としての基盤強化を図る。また、文化芸術に対する市民意識の啓発と定着を促進し、市民の居住満足度の向上を進める。
 具体的には、少子化に対応し、教育分野と連携し、小中学校に文化芸術体験ができる特別プログラムを実施するなど、一人ひとりが個性豊かで、自らで未来を切り拓いていくことのできる創造力のある子どもの育成・教育環境の形成を図り、人口流出の歯止めに貢献する。
 また、文化的景観の保全や文化芸術を通じた市民活動の活性化を図り、文化芸術を契機とした個性あるまちづくり活動の展開、定着をめざす。
 加えて、新潟県との連携を含めた“新潟文化”の都市ブランドを発信するため、文化情報インフラの整備を進める。
具体的な取り組み
● 廃校や空き店舗等を活用した地域文化交流および市民活動拠点の形成
● 各区文化会館をはじめ県立施設を含む市内の公立文化施設および民間文化施設が参加する「新潟市文化連携会議(仮称)」の設置と情報の共有化
● ウェブサイトやSNS等の文化情報を発信するインフラの整備(チケットシステムを含む)
● オープンリソースによる地域文化情報ネットワークの構築
4. 持続的・自律的なアーツカウンシル組織の確立
 先述のめざすべき方向を実現し、2020年以降、アーツカウンシル新潟が持続的・自律的に文化芸術振興に取り組むため、関係する諸機関と連携し、必要な基盤の整備を行う。あわせて、アーツカウンシルの本来の機能の一つである地域の文化芸術をけん引する人材育成の体制を整備する。
具体的な取り組み
● アーツカウンシル新潟を中核とする産官学一体となった文化芸術振興の推進体制の構築
● 調査研究等のシンクタンク機能を活かした自主財源の確立
● 新潟市文化芸術振興条例(仮称)の制定に向けた取り組み
● 人事交流を含むアートマネジメント人材育成の体制の整備