【助成事業紹介】第三回 響きと人々 古澤史水・巫美麗二人会 「貌」―義と情のあわいにて―(テーマ別プロジェクト助成)
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- 投稿日:
- 2025.12.24(水)
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- written by:
- ゲスト
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- 記事カテゴリー:
- 文化芸術活動に関する支援事業
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- ジャンル:
- 伝統芸能
| ●出前公演 |
| 日 時 | 2025年9月17日(水) 9:50~10:50 |
| 会 場 | 新潟県立新潟よつば学園 |
| ●響きと人々 公演 |
| 日 時 | 2025年10月4日(土)
開場13:00 開演14:00 |
| 会 場 | りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 能楽堂
(新潟市中央区一番堀通町3-2) |
| 実施者 | 巫舞台 |
| 採択金額 | 500,000円 |
| 選択テーマ | 文化芸術と他分野とが連携する取り組み
→連携する他分野:福祉 |
実施者からの報告
古典芸能である琵琶演奏と人形浄瑠璃の公演を通じて、伝統芸能を「生きた芸能」として認知し、普及させることを目的に事業を実施しました。障がいの有無に関わらず、それぞれが、同じ空間で公演を体験することで、障がいの垣根を感じず、すべての人にそれぞれの楽しみ方ができる空間を演出していくことと、空間を共有した人々にその意識を持ち帰っていただくことを目指しました。
昨年度、学生等の若い世代の参加が少なかったことを受けて、今年度は公演日以外で古典芸能にふれる機会を創出するため、出前公演として学校訪問を企画しました。昨年度事業の広報等のつながりから、新潟県立新潟よつば学園の生徒、教員に琵琶と人形浄瑠璃の人形の解説・体験・実演を行いました。学校の授業で琵琶語りや人形浄瑠璃を学ぶことはあっても、実際にその技術や演奏を体験する機会はほとんどなく、今回は実際に琵琶や人形に触れながら学ぶことができ、感覚的に伝統芸能を体験する貴重な機会となったという声をいただきました。団体としても、「誰もが安心して楽しめる公演」を行うために必要なことを考えるきっかけをいただきました。さまざまな障がいへの対応を学ぶと同時に、目の前の人が、何に不安を感じ、何を望んでいるのかを考えることの大切さにも気づくことができました。
公演では、「誰もが安心して楽しめるもの」とするために、バリアフリー対応に特化したアクセス紹介動画(字幕・読み上げ音声付き)や音声ガイド用QRコード付きパンフレットの作成、昨年に引き続き障害者割引を導入しました。アクセス紹介動画がアンケートでも評価されており、昨年度よりも、障がい者の参加が多くなり、ある程度達成できたものと捉えています。
また、多くの人に伝統芸能である琵琶語りや人形浄瑠璃をより深く理解していただくために、演奏のみならず、歴史や楽器についても広くお伝えし、深く知っていただけるように構成しました。パンフレットであらすじをわかりやく記載したことや解説を強化したことが、アンケート等でも評価されており、演目や芸能そのものをより深く理解し、物語の世界に没入しやすくなったと感じています。
さらに、昨年に引き続き、体験ブースを設置しました。昨年度は琵琶の体験のみでしたが、今年度は琵琶だけでなく人形と三味線の体験も加えました。開演前と休憩中、いずれの時間においても体験ブースは好評で、来場者が実際に楽器や人形に触れ、演奏や演技を体験することで、芸能の特徴をより深く感じていただけたと思います。
一方で、U-25割を利用した入場者が少なかったことは課題に挙げられます。26歳以上の若年層来場者は昨年度から増えており、チラシのデザインや公演内容についてご好評をいただいています。今年は専門学校や大学へのチラシ設置やSNSを使った広報を行いましたが、今後も引き続き、アプローチの可能性について検討を進めてまいります。
今年は、代表一人で担っていた業務を分散させることで、イベント運営を組織的に進めることができ、より広範な広報活動や障がい者への配慮が実現できたと思います。今回の公演は今後の団体運営においても、継続的に活動を行うための基盤となる重要な機会になったと感じています。
次年度は、昨年度同様に映像作品と琵琶語りを組み合わせた公演を予定しています。
私たちの目標は、さまざまな障がいを持つ方を含め、すべての人が楽しめる公演を、今年度以降も継続的に提供することです。これにより、より多くの人々とつながり、障がいを持つことが心理的な負担にならない社会を目指すとともに、障がいのない方にも新たな気づきや視点の変化が生まれるような活動を続けていきたいと思います。
また、学校訪問を通じて障がいのある方々との関わりを深めた経験を生かし、価値のある公演や出前授業を実施したいと考えています。
これまでの活動を通じて、当団体の公演については「安心して来場できる」「ひとつひとつの公演を大切に作り上げている」という声をいただいています。
これからも引き続き学び、実践を重ね、より多くの方々に価値ある体験を提供できるよう努めていきます。
人形浄瑠璃 上演の様子
体験ブースの様子プログラムオフィサーより
巫舞台さんによる今年度の取り組みは、昨年度の実施内容と、そこから見えてきた課題に正面から向き合われていたと感じています。
学校への出前公演では、公演よりも体験に重きを置いて取り組まれていました。「琵琶の重さはどうですか」、「今触っている部分は貝でできています」などと、琵琶の重さや楽器の触った感覚、音を出したときの楽器の振動や響きについて、生徒一人ひとりと話をしながら進めていた様子がとても印象に残っています。公演当日の来場者数を増やす工夫はもちろん、琵琶語りや人形浄瑠璃を知っていただきたい、体験できる機会を増やしていきたいという巫舞台さんの想いが丁寧な形で表れていたと思います。
また、公演当日の体験ブースは、琵琶の他に人形と三味線も加わり、昨年度よりも多くの方に体験を楽しんでいただけた様子でした。特に人形は、手にしたまま動くことができるので、人形遣いの方が「やってみませんか」と来場者に声を掛けており、体験はしないという方も人形遣いの方との会話が生まれているようでした。
昨年度に続き、来場された方がそれぞれに楽しめる公演づくり、そして、今年度は公演前から安心して来場できるサポート提供も加えられ、試行錯誤とノウハウが重ねられています。継続した事業実施に向けて、巫舞台さんに合った形を見つけていってほしいです。(高橋)