【助成事業紹介】イベント「MORRY GO ROUND」の開催(テーマ別プロジェクト助成)

  • 投稿日:
    2026.03.13(金)
  • written by:
    ゲスト
  • 記事カテゴリー:
    文化芸術活動に関する支援事業
  • ジャンル:
    工芸デザイン
    演劇
    美術
    音楽
写真(上):おさかなカルテット(from東京交響楽団)
●オープニングライブ
公演日時2025年10月17日(金)19:00~20:50
出演[演劇]中央ヤマモダン『山彦のバッティングフォーム』
[音楽]ABBY、おさかなカルテット(from東京交響楽団)
●モーニングライブ
公演日時2025年10月18日(土)10:30~11:00
出演[音楽]岡村翼
●クロージングライブ
公演日時2025年10月18日(土)15:30~16:55
出演[音楽]ABBY、omu-tone
●共通
会場万代島多目的広場・屋内広場 大かま
(新潟市中央区万代島4番地2)
事業実施者MORRY GO ROUND 実行委員会
採択金額500,000円(ステージイベント部分を助成)
選択テーマ文化芸術と他分野とが連携する取り組み
→連携する他分野:木工・林業・家具製造業
実施者からの報告
「MORRY GO ROUND」は、山の人も街の人も楽しめる温度のあるイベントを開催することで、新潟の里山の今いる現在地を可視化することを目標にしています。今回は、MORRY GO ROUNDの活動の象徴として、県産広葉樹を使ったメリーゴーランドをイベント会場に出現させ、それを舞台として、書き下ろしオリジナル台本の演劇と、音楽の演奏会をメインコンテンツとしました。当日は、一般来場者の方々からの演劇・演奏の感想を、大きな模造紙に感想を書いた付箋を貼り付けてもらうスタイルの寄せ書きを実施しました。

木製メリーゴーランドを制作、出現させることはもちろん、それを舞台として演劇・音楽のステージをはじめて企画・運営しましたが、滞りなく運営できたことにはほっとしました。来場者数も目標の500人を大きく上回る、1,300人(1日目500人・2日目800人)にきていただき、「あたたかで楽しいイベントだった」と、たくさん感想をいただけたことは大成功だったと思います。特に、音楽と演劇のステージには、たくさんの観客のみなさんがご来場し、とてもいい時間をつくりだしていました。
メリーゴーランドに実際に乗った子どもの保護者の方々(20代~40代)からは感謝のメッセージをたくさんいただきました。特に、おさかなカルテットとABBYの演奏中、順番にお子さんをメリーゴーランドに乗せた際には、子どもたちはもちろん楽しく乗っていましたが、それ以上に、弦楽四重奏の生音をバックにわが子がメリーゴーランドに乗って楽しむ姿を、お母さんお父さんが感激していました。とてもうれしそうに写真をとり、「こんな贅沢なことしてもらっていいんですか?」と言ってくれたのが印象的でした。さらに、その光景を俯瞰してみていた多くの来場者のみなさんから、「なんて幸せな空間なんだ」「多幸感につつまれたよ」と口々に感想をいただきました。おさかなカルテットの演奏に感動した方からは、りゅーとぴあの定期演奏会に行ってみたいとの声もありました。
中央ヤマモダンの演劇中は、イベント全体としての来場者数のピークで、会場は熱気に包まれていました。当日初見の方が、後日の中央ヤマモダンの定期公演に赴いたとの情報も聞き、新しいファン層の獲得にほんの少しでも貢献出来てうれしく思います。
岡村翼のライブは、午前中の開催ということもあり、岡村さんの歌声とそのおだやかな会場の光景とで、普段から会場・大かまの管理運営している担当の方からは「こんなにあったかいイベントはないよ」との声をいただきました。
クロージングライブで登場したomu-toneの粋な計らいで、子どもたちに声を掛けて、楽器に手が届きそうなくらい近い場所で演奏を聞くことができました。
一方で、会場の天井が高く、生声ではなかなか後列のお客様まで声が届かないことへの対応など、会場の特性を考慮した音響環境の準備が必要であることがわかり、次回への課題も明らかになりました。また、当日フリーで動けるスタッフ人材が不足し、ドネーション呼びかけやステージパフォーマンススタートに際しての呼び込みなど、きめ細かなイベント運営ができなかったことも課題として挙げられます。ボランティアスタッフで参加してくれた人の一部から、次回開催時も関わりたいと言ってくれた方が数人いました。次回はボランティアのグループを組織して、当日だけでなく準備段階から深くかかわってもらうことで、当日のオペレーションを層のあるものにしていきたいです。

イベント当日は、ステージだけでなくモリーゴーランドのコアでもある、県産広葉樹を使った家具や木製品の展示と、新潟の森や林業にかかわるゲストをお迎えしたトークの時間も設け、里山の社会問題にもやんわり楽しく向き合いました。そのほか、複数の協力企業のワークショップやフードブースもありました。新潟県産広葉樹材をつかった子ども向けのワークショップも大盛況で、とくに、木で作ったジャングルジムや、森を再現したブースでのコーヒーサーブは、人気のブースでした。フードブースも賑わっていました。
新潟県内にとどまらず、県外からも林業関係者や木工関係者が来場し、新潟の里山をめぐるモリーゴーランドの活動の熱気を感じていただけたようで、驚きと喜びの声をいただきました。
一般の来場者の方々からも、楽しいだけではなく、知らないにいがたの一面を垣間見ることができて有意義な時間だった、との声をいただきました。個別に聞いても楽しく学べるが、複数聴講することで、モリーゴーランドの活動の輪郭が浮かび上がってくるような座組みとしたトークセッションの効果も強いかなと感じています。森の伐採からはじまり、街でのデザインや製作を通して、どのようにエンドユーザーに届くのかを、それぞれのキーパーソンの口からこぼれた等身大のお話が、みなさんの心を打ったと思います。

MORRY GO ROUNDは、「行政、林業業者、製材業者、家具製造業者、消費者」の五者がお互いの動きや現状を少しづつ理解していくことで、にいがたの森のあたらしい局面を切り開くことができるかもしれない、と考えていますが、今回のイベントはその相互理解を深めていく、象徴的な取り組みとなりました。
特に重要であったのは、演劇や音楽が催されたことです。前述の循環の五者は、「一般的には繋がっていないいわゆる顔の見えない関係性で、お互いに利益が反したりする場面も多く、コミュニケーションすらままならない。」これが日本における森の循環の現状でもあります。ここに、一見関係がないように思える文化芸術分野が媒介したことで、五者の相互理解が促進され、新たな価値が生まれる礎となる兆しが見えました。
文化芸術が、本質や目指すゴールは同じだということを、皆がわかる言語に翻訳してくれた感覚。MORRY GO ROUNDにおける演劇や音楽の役割は、みんなの通訳者であったのだと思います。

今回は、関係者および一般の方々に対しての、MORRY GO ROUNDの開会宣言とも言うべくイベントでした。スタートであり、ここから、地域材の取組み「MORRY GO ROUND」ブランドのコアを確立させて、新潟のプロダクト・新潟の文化芸術を含む魅力を全国へと届けてゆくために活動を続けようと思います。
今回までは、各家具工房やクリエイターたちがそれぞれでばらばらに製品をつくっていましたが、次回イベントの開催前までに、MORRY GO ROUNDの共通プロダクトブランドを立ち上げ、県産広葉樹をつかった製品を各工房・クリエイターたちが同名義(MORRY GO ROUND)でリリースできる土台をつくりたいです。このブランディングによって、行政や大きな単位での取り組みをされる方々が、MORRY GO ROUNDを新潟の地場産業のひとつのカードとして、広く使っていただけるようになるのではと考えています。
単に家具だけではなく、にいがたの森を巡るなかで生まれたフード・スイーツプロダクトや、メリーゴーランド+演劇音楽というサーカスのようなコンテンツも全て含んだものがMORRY GO ROUNDのブランドパッケージです。今回でつながり、絆を深めたたくさんの方々のお力をお借りしながら、少しづつ進めていきたいです。
中央ヤマモダン『山彦のバッティングフォーム』
プログラムオフィサーより
家具を見に来る人やごはんを食べに来る人、木工のワークショップに参加する人、メリーゴーランドに乗りに来る人、公演を見に来る人、たまたま通った人など、さまざまな目的や年齢の人が集まって、同じ空間・時間を共有していたことが、今回の「MORRY GO ROUND'25」の特徴だと感じています。ステージ公演ご出演の方から、「音楽や演劇の公演や木製メリーゴーランドの制作、家具、木工、そして飲食も含めてクリエーションの空間になっていると思います」、といった言葉がありました。家具や木工分野の企画だけでなく、音楽・演劇のステージを交えたことで、公演を目的に来場された方が森林や家具産業にふれるきっかけに、そして、森林や木工、家具産業に主軸を持つ方々に音楽や演劇を届ける機会にもなっていました。公演出演の方はもちろん、ブース出店・出展者の方、ワークショップ参加の方は、それぞれが創り手・担い手であり、公演を鑑賞された方、展示をご覧になった方、木工作品を購入された方、飲食をされた方は、それぞれがクリエーション作品の受け手となり、ひょっとしたらMORRY GO ROUNDというイベントで知ったこと、感じたこと、思い出を誰かに伝えるつなぎ手になっているのではないでしょうか。
「行政、林業業者、製材業者、家具製造業者、消費者の五者がお互いの動きや現状を少しづつ理解していくことで、にいがたの森のあたらしい局面を切り開くことができるかもしれない」という考えを持つMORRY GO ROUNDの活動が今後も継続することで、文化芸術と産業が双方向に補完したり、影響し合ったり、調和しあったりすることを期待しています。(高橋)