【助成事業紹介】令和元年度-2年度採択:新潟市におけるフィルムコミッション機能の強化に向けた調査研究
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- 投稿日:
- 2021.06.18(金)
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- written by:
- ゲスト
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- 記事カテゴリー:
- 文化芸術基盤整備促進支援事業
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- ジャンル:
- メディアアート
申請者:水野祐介
申請者は県外の大学で映画製作を学び、卒業後も県外で映像製作に携わってきました。新潟市にUターンした後は、他県で催される映画祭の運営ボランティアへの参加や、「水と土の文化創造都市市民プロジェクト」に参画し、新潟市南区での上映会企画などを行っています。
新潟市に必要な映像産業支援の在り方を探る
新潟県内で行われるロケの概ね6割が新潟市内で行われています。これまでその誘致の窓口は県の組織「新潟県フィルムコミッション協議会」が担ってきましたが、県の事業整理・変更などにより、平成29年度から同協議会の機能が実質的に縮小することになりました。この状況に危機感を持った申請者の水野氏は、新潟市内で多くのロケが行われてきた実績を活かし、また、今後も積極的なロケ誘致を行うためにも、県の体制によらない新潟市独自の体制を作るべきではないかと考え、取り組みを始めました。
フィルムコミッション(以下FC)は、ロケ誘致も含む映像撮影への支援を行っており、全国各地で、様々な目的・形態で設立されています。まずは、新潟市ではどのような形のFCが適切なのかを考え、行政や関係機関と認識を共有する必要があります。そこで初年度は、全国規模で活動するジャパン・フィルムコミッションや、先進的な取り組みを行っているFC関係者などを講師とした勉強会を計4回実施しました。勉強会には観光や文化に関する新潟市役所内の部署や機関、団体の参加を募り、延べ45名の参加がありました。また、勉強会と並行して他自治体のFC関係者や新潟市内各区の観光・産業担当課へのヒアリングも行い、新潟市のFCに求められる機能について調査しました。
初年度の取り組みでは行政や関係機関との関係づくりや議論が主となり、様々な立場の参加者が集ったものの、取り組みへの協力者を増やすことができませんでした。そこで2年度目は、申請者が不足に感じていた新潟市のロケ地情報充実のためのアーカイブ作成と、それをとおした市内各地域のキーマンとのネットワーク形成、仲間集めを軸に活動することにしました。
2年度目は、映像製作者側が求めているロケ地情報について、全国のFC関係者や市内の映画・映像製作者へのヒアリングにより必要な情報を精査し、リサーチマニュアルを作成しました。その後、マニュアルをもとに南区や秋葉区でのリサーチを行ったところで、一旦申請者個人の取り組みとしては終了することになりました。
プログラムオフィサーより
市民から「新潟市はPRが苦手」という声を聞くことがあります。これは「PR手段が乏しい」ことだけでなく、市民が「PRすべきものの価値に気づいていない」ことの表れなのかもしれません。
本取り組みでは、行政や関係団体、各地のFC関係者による意見交換の場が設けられ、地域活性化やシビックプライド醸成といったFCの設立目的の根本を問う議論も多くなされました。取り組みは一旦終了となりますが、こうした議論をより活発に、より広げていくことが、先のような市民意識の変革にもつながるように感じています。