【助成事業紹介】Studio 奏蔵舎 オープンイベント トリプルビル ダンス公演(テーマ別プロジェクト助成)

  • 投稿日:
    2025.02.04(火)
  • written by:
    ゲスト
  • 記事カテゴリー:
    文化芸術活動に関する支援事業
  • ジャンル:
    地域文化拠点
写真(上)©︎yoshitaka
公演日時2024年10月12日(土)18:30~
2024年10月13日(日)14:00~/18:00~
会 場Studio奏蔵舎(新潟市中央区本町通12番町 文化座本町Sono内)
実施者町屋本町アートプロジェクト
採択金額500,000円
選択テーマ地域文化の魅力を創造・発信する取り組み
実施者からの報告
新潟市中央区しもまちエリアに新しくオープンしたStudio奏蔵舎のオープンイベント「トリプルビル ダンス公演」を開催。2日間で3公演を実施し、3作品(「三人姉妹と」「湊に眠る者たち」「Helpless people」)の上演とアフタートークを行いました。
「湊に眠る者たち」は、町屋本町アートプロジェクト代表の池ヶ谷奏がダンス経験を問わず新潟在住の公募出演者を募集し、集った6名としもまちエリアをまち歩きし、その体験や印象深いモチーフを使って創作した新作。ダンス未経験者やプロではない出演者たちとともに動きを模索し作品に取り入れました。
また、神奈川から大和シティー・バレエ(YCB)、大和シティー・ダンス(YCD)の振付家1名とダンサー5名を招き、スタジオの隣りにある母屋に滞在してもらい、2日間リハーサルとクリエーションを実施しました。
コンクール受賞歴もあるレパートリー的作品で、ゲスト振付家・竹内春美氏(YCDディレクター)による「三人姉妹と」に加え、このレジデンス期間2日間のみで竹内春美氏が実験的に創作した新作「Helpless people」を発表しました。
アフタートークでは竹内氏と池ヶ谷が登壇し、作品創作のヒントやこのスタジオの経緯、客席からの質問に回答する場面も設けました。13日14:00回のアフタートークでは観客から、公募出演者の感想を聞きたいという声が挙がり、途中から6人の公募出演者に登壇してもらい、それぞれ感想を話してもらいました。

「湊に眠る者たち」の公募出演者はダンス経験を問わず広く募集したため、これまでの活動の中では無かった新しい出会いがあり、男女比も半分で、バランスの良い出演者で構成されました。出演者からは「参加して良かった」「ドキドキしたけど楽しかった」「社会人になって踊る機会や発表の場が減り、ダンスから離れていたが、ダンスができる機会を探していて今回久しぶりに挑戦できた」など、良い経験になったという感想が聞けました。新潟在住でありながら、スタジオのある”しもまちエリア”を詳しく知る出演者はおらず、まち歩きでは新しい発見がたくさんあり、この地域の文化や歴史を深く知ることができ、創作にも生かすことができました。
また、ゲスト振付家・ゲストダンサーを招待して作品を発表できたことで、県外のアーティストが滞在しながら創作活動ができる1つのモデルを試すことができました。新潟に滞在することで、ダンスに限らず新潟の文化を知ってもらうことができ、地域住民や新潟在住の公募出演者と交流することでお互いに刺激を受け合うことができたと思います。ゲスト振付家・ダンサーからは、「スタジオのすぐ隣りに滞在してクリエーションに集中できたことは貴重な経験」「商店街の昔ながらのお惣菜屋さんが気に入った」「銭湯でおすすめのお店が聞けた」「新潟に住む公募出演者のエネルギーが刺激になった」などの感想が聞けました。

今回の取り組みをきっかけに、この地域に滞在したことや歴史文化を知れたことで、このエリアに訪れる魅力を発信しやすくなったと思います。県外からも呼び込めるような企画をし、蔵を改装したこのスタジオが観光の一つとなり、ここを訪れる人が増えていくよう、今後もこのような公演やレジデンス創作などを通じて発信し続けたいです。
また、地域の人が、このスタジオにもっと出入りしやすい導線を作りたいと思います。健康や体に意識を向けてもらいながら、使われていなかった身近な場所がアートによって再生することに感心を持ってもらい、より地域とアートが結びつくきっかけを増やしていきたいです。
最後に、この場所を使って表現活動をしたいという人が増えてくれることも期待しています。このしもまちエリア全体が地域とアートによって活性化し、周回できるイベントに発展させ、新しい文化財の一つとして観光スポットを増やすことで観光モデルを提示していけるようなプロジ ェクトとして長く活動していきたいと考えています。
プログラムオフィサーより
新潟市中央区本町12番町に空き家となっていた築100年以上の町屋と蔵をリノベーション。蔵の部分がダンススタジオとして生まれ変わり、今回はそのオープニングイベントとして開催されました。この建物は地域の方にもあまり知られていなかったそうで、地域の方や建物の利用者などが交流する場として有効活用していきたい、という趣旨から生まれた取り組みです。
「湊に眠る者たち」は、ダンス歴問わず集まった出演者と池ヶ谷さんがまち歩きをして、その時に見た物や風景、歴史のお話などを「あの時こんなのがあったよね」と言いながら身体で表現し、全員のアイディアを参加者同士で磨き上げながらつなぎ合わせていたいたことが印象的でした。
公募出演者の感想からこの取り組みが、地域を知るきっかけになったとともに、社会人以降もダンスを継続する機会になったこと、ゲスト振付家・ダンサーの感想からは、地域の方との交流が生まれていたことがわかります。
地域に古くからあった旧居住空間や蔵での滞在・作品創作・上演は、劇場のような上演に最適な環境が揃っている場所にはない不自由さがある一方で、生活と文化芸術が地続きになっている環境だからこそ、地域に対する気づきや交流が生まれやすい場所なのではないかと感じました。今後、このスタジオで作品が創作されることはもちろん、スタジオでの取り組みをきっかけに地域と文化芸術がつながり、エリア全体が盛り上がっていくことを期待しています。(高橋)
まち歩きの様子
「湊に眠る者たち」クリエーション中