【助成事業紹介】秋葉山AIRの実施 #にいつ昔話 (旧 D-gift)(テーマ別プロジェクト助成)
投稿日:
2026.02.24(火)
written by:
ゲスト
記事カテゴリー:
文化芸術活動に関する支援事業
ジャンル:
地域文化拠点
美術
舞踊
写真(上):秋葉山AIRvol.6滞在アーティスト:田村興一郎さん
●秋葉山AIR vol.6 #七色の池
滞在アーティスト 田村興一郎
滞在期間 2025年4月24日(木)~4月27日(日)
作品公開 2025年4月27日(日)
開演 16:00
協力 秋葉かみしばいクラブ「青空」、国際・ダンス・エンタテイメント専門学校 SHOW!
●秋葉山AIR vol.7 #にいつの昔話
滞在アーティスト 王有慈(オウ・ユウ・チー)
滞在期間 2025年7月29日(火)~8月2日(土)
グラス絵の具ワークショップ 2025年7月31日(木)
10:00~12:00
●秋葉山AIR vol.8 #にいつの昔話
滞在アーティスト Aokid
滞在期間 2025年8月15日(金)~8月18日(月)
Aokidさんとにいつむかし話を掘り起こそう(ワークショップ) 2025年8月17日(日)
13:30~15:00
●共通
会場 泊まれる劇場スロウプハウス
(新潟市秋葉区秋葉1丁目6−20)
事業実施者 NEphRiTE dance company
採択金額 285,000円
選択テーマ 地域文化の魅力を創造・発信する取り組み
実施者からの報告 秋葉山AIR(旧「D-gift made in Niigata」)は地域文化の醸成とアーティスト・ダンサーの育成を基軸としたアートプロジェクトです。地域の魅力・文化資源・地域資源をアーティストの目線で掘り起こし、発信し地域の方と共有していく取り組みとして、2021年に開始しました。
今回は、3人のアーティストを招聘し、秋葉山AIRを3回、全ての取り組みをにいつ昔話を題材に横断的なプロジェクトとして実施しました。また、【子ども制作】を募り、子どもたちが参加者/鑑賞者としてだけではなく、アーティストを迎えるためのリサーチの段階からプロジェクトに参加できるように取り組みました。
3回の秋葉山AIRのうち1回目となる【秋葉山AIR Vol.6】では、田村興一郎氏を招聘し、新潟在住のダンサーと地域の子どもたちと一緒ににいつ昔話の「七色の池」を題材にした舞踊小作品を創作し、発表しました。
2回目の【秋葉山AIR Vol.7】では、王有慈(オウ・ユウ・チー)氏が地域の子どもたちとにいつ昔話「七色の池」と「大岩の下から湧き出た幸清水」を題材にした絵画のワークショップと展示を行いました。
3回目の【秋葉山AIR Vol.8】では、Aokid氏を招聘し、新津松坂流しへの参列などを経ながらにいつ昔話を題材にしたワークショップとインスピレーションを得た抽象画の制作、展示を実施しました。
にいつ昔話を題材にするにあたり、秋葉かみしばいクラブ「青空」のみなさまのご協力をいただきました。その結果、地域の文化を繋いできた人々との交流が深まっただけでなく、インターネットでは公開されていない題材や歴史への理解が深まり、こどもたちが大人と一緒に地域の文化を探究する時間になりました。さらに、アーティストの創作作品において、地域性やオリジナリティーが増し、アーティストのインスピレーションを掻き立たせる1つの要因となりアーティストに喜んでいただくことができました。
終盤のAokid氏のワークショップに参加した子どもたちからは、「初めは思いつかなかったけど、考えているうちに色々な絵が出来上がっていった」「同じものを見ても色々な絵になっていった」といった言葉が聞かれ、上手に何かを表現することだけではなく、様々な思考や感覚が形になっていくアート体験になったのではないかと考えます。横断的にプロジェクトを実施したことで、全てではなくても、継続的に企画に様々な形で参加できた子どもたちが、回数を重ねるにつれて積極的にテーマに関する完成を求めないような、哲学的な創作活動に踏み込むことができたように感じます。
【子ども制作】については、秋葉山AIRVol.6終了後からメンバーを募集し、14名が集まりました。滞在アーティストに紹介したい秋葉区の場所をマップに落とし込んだ「おもてなし地図」を作る案や、滞在中の様子を写真・動画に記録する役割が必要、というアイディアが子どもたちから寄せられ、それらのほとんどを実現することができました。子ども制作に取り組んだことで、アーティストを地域の子供たちと共におもてなしでき、完成された作品だけではなく、創作過程の共有にもつながりました。
一方で、公募で集まった子ども制作メンバーのうち、既存のダンスコミュニティー以外からの参加は4名程度と目標よりも少ない結果でした。公募協力依頼のタイミングが学校のプログラムに対して遅かったことと、子ども制作の仕事内容は子どもたちの意見から発展していくため、【子ども制作】の活動内容が保護者の方や教育機関の方々にとってイメージしにくく、発信/拡散されにくかったことが要因と考えています。
今回の活動を通して、「おもてなし地図を作成する」「活動内容を周知するチラシを作る」「記録写真や動画を撮る」「ドリンクを作りアーティストをおもてなしする」「名札を作ってあげる」「得意な英語を活かせるように準備したい」など、【子ども制作】の具体的な活動実績ができたので、次回の公募内容に事例としてあげわかりやすく発信することに繋げたいと思っています。
プロジェクト内で創作した作品やプロジェクトの発展もありました。
秋葉山AIR Vol.6にて子どもたちや地域の方も巻き込みながら創作した作品「七色の池」は、田村興一郎氏がディレクションする神楽坂セッションハウスでの公演(ホライゾンプロジェクト~若手振付家のためのダンスショーケース~
照明なし!音響なし!ホラプロの限られた条件で
無限に自由なダンス作品を生み出せ!)に出品されました。新進気鋭のアーティストの皆さんが出演される中、Project artistとしての出演につながり、新潟での取り組みや文化を東京へ発信することができました。
また、秋葉山AIR Vol.7 の滞在アーティスト王有慈氏との関わりの中では、子ども制作メンバーと共ににいつの昔話を参照にした絵本の出版をめざしたい、ということになりました。アーティストと子供たちとの関係性を継続させていきたいと思います。
秋葉山AIR は2021 年度に開始した「D-gift」を前身とし来年で6年目10回目を迎えます。
令和5年度には本助成事業を通してドキュメンタリーフィルムの作成による記録に取り組み、令和6年度も自主的に取り組みを継続したのち、本年度令和7年度に「年間を通じた横断的なプログラム」として実施し、子ども制作も取り入れました。
来年度はこれらの取り組みに加えて、より分かりやすいオンライン上のプラットフォームを作成し、公募の実施を行えるようにしたいと思います。本年度に実施した子ども制作も秋葉山AIRの特徴として発信し、コミュニティー人口の増加、翻訳家を取り入れながら国内外へ発信することを目指したいと思っています。これまでの事業では、私たち自身のアート活動による ネットワークを活かして招聘アーティストをセレクトするケースが多かったのですが、アーティストの受け入れ体制の強化と公募の実現によって、新潟での地域とアートの取り組みの発信を進めていきます。
秋葉山AIR vol.7 滞在アーティスト:王有慈(オウ ユウ チー) さん 秋葉山AIRvol.8滞在アーティスト:Aokidさん プログラムオフィサーより
NEphRiTE dance companyさんは「D-gift made in Niigata #石油」(令和5年度)に取り組まれた翌年、泊まれる劇場スロウプハウスを立ち上げ、運営を開始されました。アーティストの視点から地域の魅力を掘り起こし、地域の方と共有するというD-giftから継続している要素に加え、地域にひらかれたスロウプハウスの活用と地域の文化資源を題材としたアート作品の創出をめざし、地方創生に取り組むコミュニティや地域の子どもたちを巻き込むことに力を入れる必要性を感じ、令和7年度の企画を立ち上げられました。
特に子どもたちと事業の関係性については、この企画がよりよくなるためのアイディアを子どもたちが複数提案していたことや、アーティストににいつ昔話について紹介したり、アーティストと子どもたちがにいつ昔話の題材となった場所を一緒に見に行ったりするなど、「公演を鑑賞する」「ワークショップに参加する」以外の関係性を模索し、3回のアーティスト・イン・レジデンスの取り組みを通して、その具体的な姿が見えてきたように感じます。
今後は、ダンスや文化芸術はもちろん、それ以外のさまざまな興味や得意なことをきっかけに「秋葉山AIR」に関心や接点を持つ子どもたちが増え、地域の魅力や文化がつながっていくことを期待しています。(高橋)